浅葱色の魁
カラン



それを落とすと
胸元に手を入れる



懐から板を取り出してみると
ぽっかりと穴が開き


パキッ



真っ二つになり

平助の手から落ちる







チクリ





胸に痛みがはしる




〝少し、刺さったんだ…
でも、兄上達が守ってくれたんだ…〟




体の異変に気づいて
捕らえられた女達を見る




「我らに気がつく程のその頭も
何もかもお終いだ!ハッハッハッ!!」




膝からストンと落ちる平助を
慶喜が抱きとめる




「その女は、もう死んだも同然
廃人となり、ただ死を待つだけだ
邪魔するからだ!!!」




〝もし… 我が儘が許されるなら
もう一度、会いたかった
会いたいと思ってしまったら
死ぬことが、もったいないって
生きて… 兄弟揃って
酒を呑み、昔話がしたかった
藤堂平助として死にたかったのに
どうして、こんなにも生きたいんだろう〟




薄れる意識と戦いながら




割れた木に手をのばす




「誠!!!しっかりしろ!!!」







慶喜が木を拾い、平助に持たせようとしたが、平助は意識を飛ばした










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