浅葱色の魁
山南から距離を置くように言われても
普段通り、酒に誘われれば
芹沢の部屋へ行っていた



芹沢と梅の3人だけで呑んでいた日




「親しい仲なのだろう?
…藤堂 高潔殿だったか」


「は?初見ですよ!」


「あちらは、随分と好意を寄せた眼差しで
平助をみていたぞ?」


「ええ?そうなの?」


「平助は、演技が上手いなぁ
歌舞伎者になれそうだ!ハッハッハッ!」


「平助さん、この人……平助さんしか
腹の割って話せる人がおらんのや
うちも他言せえへんよ」


「平助!俺は、なぁ!
この身を捧げてもいい!
新選組を押し上げられるならばな!」


「押し上げて、そこに鴨がいなきゃダメだよ
俺は、徳川のやり方嫌いだ…
鴨だけを悪者にするなんて…」


「俺がそう仕向けた
近藤や土方がいる
新選組は、もっと尊い仕事をするぞ!」


「俺は、目の前で困っている人を助けたい
将軍は、いつも守られてるんだから」


「平助は、優しいな」


「ええ 本当に」


「誉めても良いことないよ!?」


「藤堂さんとは…どこで?」


「……初見だって」


「ふっ 知った所で、どうということはない
だがな……平助が、ひとり寂しそうなのは
見ていて辛い…俺は、平助にとって
信用に足らない男なのか?」


「……」



芹沢の目を反らせなかった



「兄弟なんだ……徳川のせいで…
離れ離れになった」



梅が平助の背中に手を当てた



「ハッハッハッ!それで将軍警護は気乗りしないというわけか!!!」


「うん…でも、最近は仕事だと割り切ってる
嫌々だけどね」


「まあ!平助さんたら!」


「嫌々か!そうか!そうだろうな…
離れ離れ……でもな
あの目には、平助を案じる優しさが見えた
良い兄を持ったな!」


「ありがとう」


「俺も、平助の幸せを願っている!
どんなに遠く離れても
例え……地獄におちようと
平助を見守ってやる!」


「クスッ 大袈裟!」










芹沢が暗殺されたのは
その数日後

宴の後の事












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