Miseria ~幸せな悲劇~

その頃、学校の視聴覚室ではメイ達が資料を探してものを漁っていた。


「どう? 祐希、そっちは?」


「ダメ、ないみたい」


先輩が残していったものが散乱しており、中には下着や生理用品まであった。が、お目当ての魅郷の資料を見つけることはできなかった。


「はぁ、また振りだしね……」


詩依はそう言って心臓に手をあてて近くにあった机の上に座った。


どうやらかなり疲れている様子で、額には汗がにじみ出ていた。


「大丈夫、詩依…?」


メイが心配そうに尋ねた。


「大丈夫よ。ちょっとはしゃぎすぎただけ……」


詩依はそう言うとまたゆっくりと立ち上がった。


「それより、次は生徒会? 先輩が残したなら部室とかはどうかしら?」


詩依は気丈な声で言った。それでもやはり、無理しているようだった。


「それならたしかオカルト研究部とかあったよね」


祐希が言った。


「ちょっと待って……みんな」


メイの耳にまた扉の向こうから小さな音を拾った。


ヒールで歩く足音だ。


「……また、誰か来るよ」


「えっ…!」


音はどんどん近づいてくる。


「とにかく隠れましょう…!」


三人は物陰に身を潜めた。そして、入口のガラス越しにぼやけて見える外の様子を見守った。


また喰イ喰イが……?


緊張が三人を支配する中で、メイは思わず息をのんだ。
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