Miseria ~幸せな悲劇~

☆☆☆

「げほっ! げほっ! うえっっ!!」


ホームの階段を駆け上がっていたメイは途中でまた凄まじい吐き気に襲われて膝をついた。


「あ゛あ゛あ゛!! あ゛あ゛あ゛!!!!!」


メイは苦しさのあまり制服のボタンとリボンともに引きちぎった。


制服によって固定された喉と首に違和感を覚えたのだ。


「うっ、うぐえぇ………」


興奮したせいか、再度メイは嘔吐し、吐いた物が壁に付着した。


「はぁ、はぁ……」


その中には赤色のメイの血も混ざっていた。


「血………」


メイの血は彼女の手首付近にも付着していた。


「ひっ……!」


メイの手首には美花の髪留めがあった。


それは美花の妹から美花の代わりとして預かっていたものである。


しかし、今のメイにとってそれは、全身に悪寒が走るほど不愉快な品物であった。


「うわああああ!!!!!!!」


メイは叫びながら美花の髪留めを引き裂いて捨てた。


「違う、違う、違う、違う!!! 私のせいじゃない、私のせいじゃない!! 私の………」


メイはふらふらになりながらまた階段を上がった。


すると駅の構内は不自然なほど静かで、そして無人駅のように誰一人の姿もなかった。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」


薄暗い駅の真ん中に、あの黒髪の少女の姿が見えた。


「………」


少女は青色の瞳を光らせながら、メイの元に歩み寄る。
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