Miseria ~幸せな悲劇~


病院の屋上で私は両手を広げて目を瞑っていた。


髪を逆立てるほどの風がふいている。


あと一歩前に出れば私は地上に吸い込まれ二度と帰って来れないだろう。


強風の中、私は少しだけ前に体重を移した。


『うわっ!!』


地上から見えない手に引っ張られるような感覚がして、私は慌てて後ろに倒れた。


『はは………』


空は相変わらず曇天で、もう少しで雨がこぼれ落ちそうだった。


『やっぱり。自分じゃあ死ねないな…』


私は喰イ喰イの言葉をひとつひとつ思い出しながら空を眺めていた。


『そうだね。喰イ喰イ…』


私が自分自身では私を殺せない以上、私は喰イ喰イの力に頼るしかない。


『私を殺すのはあなたよ。そして、私を。私を変えてくれるよね?』
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