Miseria ~幸せな悲劇~
☆☆☆
2013年 6月 24日。神奈川県某所。凪瀬(ナギセ)女子高等学校前。
「メイ、メイ!メイってば!」
高校へむかう途中、ぼんやりと歩く神崎メイ(カンザキメイ)に水島祐希(ミズシマユウキ)が呼び掛けた。
「あっ、ごめん、祐希。なんの話してたっけ?」
メイは祐希に話しかけられて我に帰ると、潤った唇ではにかみながら言った。
「もう、大丈夫? また頭痛がしたの?」
お姫様カットにミディアムヘア。典型的な男子人気の高い清楚系アイドルのようなルックスの祐希は、可愛らしい大きな瞳でメイの顔を覗きこんだ。
とはいえ、ここは女子校だ。彼女の可愛らしい容姿が存分に発揮されるのは、せいぜいおもしろ半分で開催される学校のミスコンくらいである。
「まぁ、ちょっとね、なんだか最近体調が悪くて…」
メイは明るい色の茶髪を弄りながら答えた。
メイは長身で雑誌モデルのようにスタイルがいい。ルックスも祐希に劣らず、人気のハーフタレントのような顔立ちだ。
「いろいろ無理しすぎなんだよ。メイは一人暮らしなんだし、人一倍体には気をつけないと」
一年の春から、今期、二年の一学期の期末まで、テストの度にストイックにこんをつめるメイを知っていたためか、祐希は心配そうに言った。
メイの家族は父親しかおらず、しかもその父は、海外を縦横無尽に行き交うエリートビジネスマンだ。滅多に日本には帰ってこない。
そのため、メイは高校に上がってから独り暮らしをしていた。
「平気、平気。食事は栄養とか考えてるし、ただ、ちょっと寝不足なだけ。それより、祐希。昨日の詩依と鈴木先生の話聞いた? 詩依のやつ本当に度胸あってさ…」
メイはにこりと笑いながら友人の武勇伝を語った。
「えっ! 嘘っ! 詩依、先生にそんなことしたの!?」
二人は幼げな表情で楽しそうに会話を続けた。
朝の八時過ぎ。思春期の女子にとってめんどくさい学校の勉強や、前日に携帯をいじりすぎた眠気も、友達との楽しい女子トークで少しの間だけ忘れることができた。
正直……。話の内容自体はどうでもいい噂話だが、それがメイにとってなぜか良いエネルギー源となった。
「ほんとバカみたいだよね。先生すっごいキレてるしさ」
特にメイは友達とただ盛り上がっているだけの時間が好きだった。
理由はうまく説明できないが、つまりは、トークの内容よりもむしろ、その場の空気感(ノリ)が好きなのだ。
2013年 6月 24日。神奈川県某所。凪瀬(ナギセ)女子高等学校前。
「メイ、メイ!メイってば!」
高校へむかう途中、ぼんやりと歩く神崎メイ(カンザキメイ)に水島祐希(ミズシマユウキ)が呼び掛けた。
「あっ、ごめん、祐希。なんの話してたっけ?」
メイは祐希に話しかけられて我に帰ると、潤った唇ではにかみながら言った。
「もう、大丈夫? また頭痛がしたの?」
お姫様カットにミディアムヘア。典型的な男子人気の高い清楚系アイドルのようなルックスの祐希は、可愛らしい大きな瞳でメイの顔を覗きこんだ。
とはいえ、ここは女子校だ。彼女の可愛らしい容姿が存分に発揮されるのは、せいぜいおもしろ半分で開催される学校のミスコンくらいである。
「まぁ、ちょっとね、なんだか最近体調が悪くて…」
メイは明るい色の茶髪を弄りながら答えた。
メイは長身で雑誌モデルのようにスタイルがいい。ルックスも祐希に劣らず、人気のハーフタレントのような顔立ちだ。
「いろいろ無理しすぎなんだよ。メイは一人暮らしなんだし、人一倍体には気をつけないと」
一年の春から、今期、二年の一学期の期末まで、テストの度にストイックにこんをつめるメイを知っていたためか、祐希は心配そうに言った。
メイの家族は父親しかおらず、しかもその父は、海外を縦横無尽に行き交うエリートビジネスマンだ。滅多に日本には帰ってこない。
そのため、メイは高校に上がってから独り暮らしをしていた。
「平気、平気。食事は栄養とか考えてるし、ただ、ちょっと寝不足なだけ。それより、祐希。昨日の詩依と鈴木先生の話聞いた? 詩依のやつ本当に度胸あってさ…」
メイはにこりと笑いながら友人の武勇伝を語った。
「えっ! 嘘っ! 詩依、先生にそんなことしたの!?」
二人は幼げな表情で楽しそうに会話を続けた。
朝の八時過ぎ。思春期の女子にとってめんどくさい学校の勉強や、前日に携帯をいじりすぎた眠気も、友達との楽しい女子トークで少しの間だけ忘れることができた。
正直……。話の内容自体はどうでもいい噂話だが、それがメイにとってなぜか良いエネルギー源となった。
「ほんとバカみたいだよね。先生すっごいキレてるしさ」
特にメイは友達とただ盛り上がっているだけの時間が好きだった。
理由はうまく説明できないが、つまりは、トークの内容よりもむしろ、その場の空気感(ノリ)が好きなのだ。