Miseria ~幸せな悲劇~

しばらく歩いて、二人が凪瀬高校の校門近くにさしかかると、


「おっ! 来た来た! 祐希ちゃん、久しぶり!!」


一人の背の低い金髪の男子高校生が祐希に話しかけてきた。


「え、えっと……」


祐希はその男を見て困惑した様子だった。


凪瀬は何十年と続く女子校であるため、他校の制服を着た男が校門の周辺をうろついている姿は異様であった。


「相変わらず超可愛いねぇ。もしかして高校で彼氏とかできちゃったの? あっ、女子高だから出会いがないか……」


目の細い男は、祐希になれなれしく話しかけると、ギョロギョロとした目付きで祐希の足の先から上へと舐めるように目線を移した。


二人の様子からメイは祐希と男があまり良好な関係でないことはなんとなく悟った。


「祐希、誰こいつ? 知り合い?」


メイは腕を組んで突き放すような視線で男を威嚇した。


しかし、男はメイのことは気にも止めず、祐希の顔を宝石商のような顔で見入っていた。


「う、うん。中学の頃の同級生。あんまり話したことないけど……」


祐希はどこか怯えた顔をしている。


「はぁ? 話したことないって?」


男はそんな祐希の言葉を聞いて肩をすくめた。


「祐希ちゃん、ひっどいなぁ、そんな言い方」


男は祐希の肩に彼氏のようにべっとりと手をのせて抱き寄せた。


「ちょっ、ちょっと……」


祐希は困り顔で男の誘いを拒んだが、なおも男は祐希の肩に手を回した。


「俺っ、祐希ちゃんにはあんなに積極的にアピールしたのによ! 今だってまだ惚れてるんだぜ! マジで!」


男は祐希の耳元で息を切らせながら言った。
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