君だから。

「葵の隣の席みたいだよ?」


ほらと、凛は横の席を指差してそう言った。


転校生隣なんだぁ…


「あ、隣だったんだね。気づかなかった…」


うわぁ、どうしよう緊張してきた。


「緊張してるでしょ」


そんな私の気持ちを代弁するかのように凛が言った。


「うん。全く気づいてなかったからすごく焦ってる」


凛はあはは〜と呑気に笑っている。


なんで隣に机置いてあったことに気づかなかったんだろう?


あー、でも、考えてもどうしようもないか


もう、なるようになれ!だよね


そう思い、諦めて腹をくくることにした。


「私、頑張るね」


「葵、ファイトだよ!」


凛はそう言って自分の席へと戻っていった。



キーンコーンカーンコーン────



そして、チャイムが鳴る。


いよいよ、転校生がやって来る時間。


ドキドキしているのは私だけではなく、クラス全員が期待を込めた目をしてドアを見つめていた。



ガラッ────



ドアが開いて、転校生が先生とともに教壇にあがる。
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