極悪プリンスの恋愛事情


それってつまり───。

ちらりと、窓の向こうに見える校庭に視線を向けた。

そこには男女で手を繋いで踊る姿が映し出されている。


「ここで、私と踊ってくれるの……?」


あの女嫌いの凛くんが。

文化祭に参加しなかった凛くんが。

後夜祭を断った凛くんが。


夢としか思えなくて彼に答えを求めると。


「お前さぁ、普通察するだろ。これだからバカは嫌なんだよ……」

「まっ、まって!」


離れる手元を追いかけて、ぎゅっと掴んだ。

うっわぁ……どうしよう凛くんの手、握っちゃった。

一瞬にして手汗が………。


「ったく、ほんとに面倒くさいよ。花野井は」


「わっ、!?」


掴んだ右を手をぐいっと引かれ、再び近づいた距離に胸が弾む。

腰に回された凛くんの手が恥ずかしくて瞬く間に熱が回った。


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