極悪プリンスの恋愛事情


「おはよ、花野井ちゃん」


返事をしない凛くんに代わって、隣にいた岸本くんが気を利かせてくれた。

にこりと笑う王子様スマイルに、少しだけ心が救われる。


「おはよう、岸本くん!」


岸本くんはいつも笑顔なのに、やっぱり凛くんは笑わない。

みんなにニコニコしてたらそれはそれで嫌だけど、たまには笑った顔も見たいなぁって。


「花野井ちゃんは今日も元気だよね」

「あはは、普段はわりと暗いんだけどね」

「そうなの?」

「うん。でも、凛くんに振り向いてほしいから」


凛くんに告白と言う名の宣戦布告をした日から、私は積極的にアピールをするようになっていた。

ついこの間まで見ているだけだったけど、今では取り巻きの女の子たちに負けじと戦っている。


「うざ……」


もちろん、凛くんの冷たい言葉にもめげたりしない。

こうやって近づけるだけでも嬉しいから、贅沢言わないよ!


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