お見合い結婚狂騒曲
ーーこの男は、やはり只者ではない。

「だったらどうするんですか?」
「どうする? 決まっているじゃないか」

葛城圭介がニヤリと笑う。

「君が僕を好きになればいいだけだよ」
「ーーそれでは片想いです」

嗚呼、何なんだ、この意味のない話し合いは!

「イヤ、ちょっと思ったのだが、もしかしたら僕は君が好きなんじゃないかな?」

ーーハァ? 今、この男は何と言った? 私を好き? それも疑問形で言ったような……。

「だから、僕は確信が持てるように、君は僕を好きになるように、デートを重ねようじゃないか」

その妙に明るく軽い言い方は何だ! ふざけているのか?

「あのぉ、それ、本気で言っています?」

「本気だ」といきなり真剣な眼差しが言う。

「見合いという出会いだが、これが恋愛に結び付いたら、君が思い描く恋愛結婚になるのだろう?」

あっ、もしかしたら公香……彼女が何か言ったのか?

「強引に結婚しても君は幸せにはなれない。だろう? それに、僕の勘が正しければ、君の深層心理は既に、僕を好いていると思うんだ」
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