お見合い結婚狂騒曲
イヤ、それは……と考え、そうだ、とニッコリ笑う。

「じゃあ、一夜のお相手、そういう方が大勢いらっしゃるじゃないですか?」

葛城圭介の眼が冷たく私を見る。

「僕は今、君と付き合っている。過去も現在も二股などという不誠実なことはしたことはない。当然、未来もしない。今、僕には君だけだ」

ーーまただ。ドクンと胸が震える。

「だから、悪いが今晩はここに泊まってもらう。ということで、何がしたい?」

この男はやはり天然だ。

「ーー圭介君……貴方って天然のタラシですね」
「どう言う意味だ」
「まんまです。いちいち言うことが胸キュンなんです」

首を捻り彼が訊ねる。

「胸キュンということは、君は僕に惹かれているということか?」

ウーンと宙を見つめ、それからフルフル首を横に振る。

「惹かれてはいません。抵抗力の問題です。私、こういうのに慣れていないもので、ドラマや漫画の世界を見ているようで……言うなれば第三者目線と言いましょうか……」

「君って面倒くさい奴だな」

葛城圭介がクッと笑みを浮かべる。

「僕は君を観察して気付いたことがある。本当は君、恋愛結婚がしたいんじゃないのか?」
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