お見合い結婚狂騒曲
そもそも私が見合いに走ったのは……アイツのせいだが……アイツと本当に結婚したかったのか?

ウワッと叫び立ち上がる。

違う! 結婚なんて思ってもいなかった。
誠実な付き合いを望んでいただけだ。

そうだ、結婚というキーワードを出したのはアイツだ。私はアイツに呪いを掛けられただけだ……と今、気付く。

原因が分かると、思いがストンと心に落ちる。

私は誠実な人と出会い、付き合い、幸せな結婚をしたいのだ。だから、まず誠実な人と……と思い、ハッとする。

葛城圭介の態度は、いついかなる時も誠実だった。その度に私の胸はキュンと締め付けられ、ドキドキした。

ーーということは……私は既に……彼に恋している?
イヤ、でも、あれっ? そもそも恋ってどんなだっけ?

いかん! 長い間、現役から離れていたせいで感覚が麻痺している。
新婚だが、尚リア充の南ちゃんを思い出せ!

目を瞑り南ちゃんの姿を思い出すが、フワフワの綿アメが思い浮かぶばかりだ。

どうにもこうにも仕方なく、現実世界から逃避するように海苔巻きを一本手に取る。
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