お見合い結婚狂騒曲
だが、それは一瞬だけだった。

「圭介君、しっかり手を繋いでいて下さいよ」

豪邸の迫力に負け、集まった人の煌びやかさに負け、小心者の私は葛城圭介の手に縋り付いた。

「いつもそれぐらい素直だったら、もっと可愛げがあるのに」

フン、どうせいつも可愛くないですよ!

「でも、ツンツンの君は癖になる」

どういう意味?

「あらまぁ、本当に仲がおよろしいこと」

声を掛けてきたのは、スレンダーな美熟女だった。
上品な顔立ちは、どことなく葛城圭介と似ていた。親戚?

「お久し振りです。桜子さん」

葛城圭介が軽く会釈する。

「ごきげんよう、圭介さん。ご紹介して下さらないの?」

妖艶な笑みを浮かべた桜子さんが、私に魅惑的な流し目を送る。

「真央、桜子さんは僕の母だ。そして、この子が僕のフィアンセの赤尾真央さん」

母……この妖艶なマダムが!

「まぁ、お目々が真ん丸。チワワみたいで可愛いわ。よろしくね、真央さん」

ーー今度はチワワ……どうやら葛城家の面々は、私を人間に見てくれないらしい。
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