お見合い結婚狂騒曲
「さっき、貴女が作った恵方巻き、頂いたわ」
桜子さんの表情がキリリと変わる。
そう言えば……あの大皿は身内の控え室だ、という部屋に運ばれて行った。
「悔しいけど、海苔もお米も具材もパーフェクト、義母と同じぐらい美味しかったわ」
義母……ああ、お祖母さんのことか。
「桜子さんはフードライターをしているんだ」
そんな口の肥えた方に、こんな風に褒められるなんて、人生最大の誉れではないだろうか。
「ありがとうござい……」
デジャヴ? ます、と最後まで、また言えなかった。
「お母様!」と桜子さんに抱き着かれたからだ。
「ちょっちょっと、桜子さん、真央がビックリしていますよ」
葛城圭介が慌てて引き離そうとするが、桜子さんのキツク巻き付いた腕は剥がれない。
バニラの香りだろうか、甘い香りが桜子さんの身体から香り、クラクラする。この人、プリンみたい。
「これこれ桜子、真央ちゃんを独り占めとは、怪しからんな」
桜子さんの腕が少し緩む。声の方に顔を向けると……笑みを浮かべたお祖父様が、こちらに歩み寄ってくるところだった。
それはまるで、モーゼの十戒の海割れの奇跡を見ているようだった。
桜子さんの表情がキリリと変わる。
そう言えば……あの大皿は身内の控え室だ、という部屋に運ばれて行った。
「悔しいけど、海苔もお米も具材もパーフェクト、義母と同じぐらい美味しかったわ」
義母……ああ、お祖母さんのことか。
「桜子さんはフードライターをしているんだ」
そんな口の肥えた方に、こんな風に褒められるなんて、人生最大の誉れではないだろうか。
「ありがとうござい……」
デジャヴ? ます、と最後まで、また言えなかった。
「お母様!」と桜子さんに抱き着かれたからだ。
「ちょっちょっと、桜子さん、真央がビックリしていますよ」
葛城圭介が慌てて引き離そうとするが、桜子さんのキツク巻き付いた腕は剥がれない。
バニラの香りだろうか、甘い香りが桜子さんの身体から香り、クラクラする。この人、プリンみたい。
「これこれ桜子、真央ちゃんを独り占めとは、怪しからんな」
桜子さんの腕が少し緩む。声の方に顔を向けると……笑みを浮かべたお祖父様が、こちらに歩み寄ってくるところだった。
それはまるで、モーゼの十戒の海割れの奇跡を見ているようだった。