お見合い結婚狂騒曲
ラーメンセットやお菓子はグッジョブな選択だが……この五杯の毛ガニと珍味と日本酒は、私が呑兵衛だとでも思っているのだろうか。

そりゃあ飲み会の雰囲気は嫌いじゃない。むしろ好きだ。ただ、意外に私はアルコールに弱い。だからいつも、飲むより食うに重点を置いている。

「まあ、取り敢えず、毛ガニで乾杯でもしますか!」

飲む気満々の公香が、毛ガニを持ち上げハサミを振る。対する公香はザルだ。

「明日、仕事だから程々にね」

そう言いながらも、酒盛りの支度を始める。そう言えば、公香とこんな風に飲むのは久し振りだ。そうだ、旅の疲れも、葛城圭介のことも呑んで忘れよう!



そして、三時間後。早い時間から飲み始めたせいか、それ程遅くない時間だというのに、私たちはホロ酔い状態で、いつものように可笑しくもないのにケラケラ笑っていた。

「で、葛城さんが『見合い屋』に仮交際すると言った時点で、結婚の意思を示唆したようなものだって言ったんだぁ」

これで何度目だろう。同じことを言っては公香は、「まさに玉の輿ぃぃ!」と手を叩いて喜んでいる。
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