お見合い結婚狂騒曲
アハハハと大笑いし、「何それ傑作」と公香は大喜びだ。
旦那殿は、まだ出張中らしい。

「お祖母さんの声に似ているから抱けないなんて、そんな理由、初めて聞いた」

お腹を抱え、引き攣り笑いをする公香の米神をグーの手でグリグリする。
「痛い、止めて!」と言いながらも笑い続ける。

ひとしきり大笑いし、ようやく治ったのは、コーヒーメーカーがピッピッと合図した時だ。

「ハーッ、笑い死ぬところだった」

フン、死ねるものなら、死んでしまえ!

「でも」とコーヒーを啜りながら、公香は一転、厳しい顔になる。

「いくら仕事だからって、一ヶ月も放っておくなんて、最低」

おお、持つべき者は友だ。久し振りに見直した。

「どうせなら真央も連れて行け! そしたら世界各国のお土産が手に入っただろう!」

きっと彼女の頭には、北海道土産があるのだろう。
憤慨する公香を横目に……そうだった、この女はあくまで自己中女だ、見直した私が馬鹿だった、と一人反省会をする。

「で、もし地球上に葛城さんと二人だけになったら、真央、貴女、彼に抱かれてもいいと思った?」

思わずコーヒーを吐き出すところだった。必死で飲み込んだが、ゴホゴホとえずく。公香、お前もか!
< 79 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop