お見合い結婚狂騒曲
「真央、それってヤリ逃げされたんじゃない! どうしてその時言わなかったの!」

美人って怒ると本当、怖過ぎ。

「ーー色々考えちゃってね。考えている間に時が過ぎて、もうどうでも良くなっちゃって」

それに、たぶん、公香に言ったらアイツは再起不能にさせられただろう。でもって、その治療費は私に回ってきたに違いない。それこそ本末転倒だ。

「知ってたら、ギタギタにしてやったのに」

ほら、思った通りだ。この女、か弱そうに見えて、実は腕に自信ありの猛者だ。だから私も逆らえない。

「それで殿方に対して淡白だったんだ」

謎は解けた、とばかり公香は何度も頷く。

「で、アイツのせいで、後遺症とか、トラウマとか、そんな心の傷はないのね」

本気で心配しているようだ。

「うん、それはない。ただ、恋愛はできなくなった。結婚ありきの付き合いはいいけど……」

ああ、と公香がポンと手を叩く。

「だから『見合い屋』だったんだ」
「そういうこと」
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