お見合い結婚狂騒曲
「それは君だって同じだろ? 見合い相手を好きという感情なしで結婚相手に選ぶのだから」

そうだった。でも……と矛盾する感情が心の中でグルグルと入り乱れる。

夢見る夢子さんだった私は、ずっと私だけの王子様を待っていた。
愛し愛され末永く幸せに暮らしたとさ、で完結する、物語の姫のようになりたかった。

「君が何を思おうが自由だが、僕たちの契約は現在進行形だ」

無言の私に何を勘違いしたのか、葛城圭介はギロリとひと睨みし冷たく言い放つ。

「言っておくが、僕は契約を破棄するつもりはない。今、君は僕のものだ」

ドクンと胸が音を立てる。

ーー私はこの男と、思い描いていた夢見るような結末を迎えることができるだろうか……。

「だから、デートと言われるものもする。何をすればいい?」

ーーだが、好きになる可能性はある、と彼は言った。なら……。

「一般に言われるのは、映画館、動物園、遊園地、水族館、ショッピングに行く、が定番でしょうかね」

南ちゃんの恋バナを思い出す。

ーー彼とデートを重ね、お互いの気持ちを確かめるのも手なのかもしれない。

「ん? ーーでしょうかね、と不確かな言葉は、もしかしたら、君もデート初心者か」

何だ、その同類憐れむ、みたいな顔は!
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