お見合い結婚狂騒曲
「失礼な、過去二回あります!」

嗚呼、何て無意味な反撃。

「ーー映画デートとかショッピングデートとか……」

正確に言えば映画デートは、高校の時、グループ交際で、だ。結局、もう一組の女に男を取られた。そして、ショッピングデートは、例のアイツとだ。買ってもらった、じゃなくアイツの物を買わされた。思い出したくもない黒歴史たちだ。

「フーン、その顔、あまりいい思い出ではないようだな」

クーッ、当たっているだけに反撃できない。

「なら、上書きする意味で、まず、映画とショッピングをしよう。一ヶ月後だがな」

ーーやっぱり、そこは一ヶ月後なんだ。

「何を笑っている」
「いえ、ブレないなぁと思いまして」

単純だが、私は嬉しかったのだ。
上書きしよう、と言ってくれた彼の言葉が……。

「で、君はこの休み何をするのだ?」
「祖父母の家で過ごします」

毎年恒例のことだ。

「そうか、分かった」

何が分かったのだろう?

ーーこの事が分かったのは、私が実家に戻った時だ。私を待ち構えていたのは、物産展が開けるほど大量の北海道の美味たちだった。

「お歳暮兼お年始だって、昨日届いたのよ。真央ちゃん、貴女、北海道の人と付き合っているの? 署名に婚約者って書いてあったわよ」

一瞬、目眩がした。結局、休暇中はずっと祖父母にアレコレ追求され、ゆっくり過ごすこともままならなかった。

おのれ、今度会ったらタダではおかぬ!



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