見合い相手は、変貌を遂げた御曹司


「詩織〜、お風呂先に使って〜〜!私、少し酔いが覚めてから入るから〜〜〜。」

テーブルに体を預け、ほろ酔い気味の優子を見て困ったように頭を撫でた。


「そうだね。その方がいいよ。詩織ちゃん入って来て?タオルは置いてあるから、好きに使ってよ。この状態で風呂なんて入ったら優子、溺死しちゃうからさ。」


愛おしそうに目を細め、優子を見つめる辰巳にお礼をいい、浴室へと向かった。


浴室を開けると、いい香りに包まれた。
湯船には入浴剤の花びらが浮かぶ。


体を念入りに洗い、ゆっくりとお湯に浸かる。

目を閉じると、眠ってしまいそうだ。



最後に見たあの男性は誰だったんだろう。
目があった瞬間、金縛りにあったように体が動かなくなった。

いくら考えても分からない。
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