キミのビートにのせて。




外に出た途端、俺たちは顔を顰めた。目の前の人混みがかなりの混乱状態になっていて、人にぶつからずに歩くのが精一杯だ。





幸い帽子を被っているのと、この混乱のお陰か、俺が誰なのかはどうやらバレないようだ。





そしてKyouyaが




「俺は向こうの方探すから、Shunはあっち頼むな!」






と言い残し、さっと人の山の中に消えていった。俺も突っ立ってる訳には行かない、と辺りを見回した。




すると───




行き交う人々の隙間から、倒れているらしい女の子がちらりと見える。俺はすぐさま駆け寄って、「大丈夫か!?しっかりしろ!!」と声を掛けて状態を見る。





意識がないのだろうか、その目は閉じたまま。すると彼女はうっすらとではあるが目を開けたのだ。…よかった。とりあえず意識はあるみたいだな。




するとその子は、




「しゅ……ん…?」




と俺の名を呟いた。その子のカバンには、ピンク色のドラムをあしらったキーホルダーが揺れていた。そっか…。この子、俺の…



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