星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
心春Side

その後の部活は何も考えることが出来なかった。

ただ、大好きな二人のソロ曲を奪ってしまった、その罪悪感にさいなまれた。

「心春、教室戻るよ?」

「え?」

隣から環の声が聞こえた。

「終わったの、部活。」

反対側から棗の声が聞こえる。

それからどうやって教室に戻ったのか、着替えたのか、電車に乗ったのかわからない。

気がついたら最寄り駅の改札にいた。
それから自転車に乗って、ゆっくりと帰った。

何で私なんだろう?
私みたいな中2の経験のない若輩者より何回もステージを経験してきた椿先輩や聖也先輩の方が圧倒的にステージの質は上になるだろう。

そんなことを考えてるといつもは長い駅から家までの道のりもほんの数分のもののような気がした。
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