星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
3位に入った時点で人気投票の結果も考慮して相良ではないとはわかった。

でも流石に心春になるとは思っていなかった。

俺か椿か。
点数では俺が負けてるから投票で勝たねばならない。

やはりこの部活に入っているからには一度は憧れるソロ曲の座。
最後まで諦められなかった。

俺と椿は涙を耐えながら心春に話しかける。

「そう、あなたが踊るの。」

「おめでとう、頑張れよ。」

俺たちはそう声をかけた。
きっとお礼の言葉が返ってくる。
そう考えていた。

けれど心春は俺たちに抱きついて

「先輩…、ごめんなさい。」

そう震える声で言ったんだ。

それまでは胸のどこかで悔しい思いがあった。

俺らの完敗だ。
心春はもう次世代エースではない。

俺たちダンス部の誇るトップスター。


――頑張れよ、トップスター。
これからはお前の時代だ。
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