星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
「櫻さんが見たいっての入れていいよ」

私がデッキからDVDを取り出しながら言うと櫻さんはカウンターに置いてあったDVDを持ってきた。

「心春ちゃんのソロ曲の動画。
ほら、公演って見に行けないじゃない?
だから顧問の先生が撮って焼いてくれたの。」

私は心の中でまずいと呟いた。

なぜならソロ曲の音源はさっき聞いたばかりの『届け』だ。
配信が始まったのも1週間前。

しかも私がイスに座っているのを見たら櫻さんは絶対に気づく。

私は何て答えれば正解なのはわからなくなる。

そんな複雑な私の感情を物ともせず櫻さんは再生ボタンを押した。

最初に写ったのは真っ暗なステージ。
曲が始まると同時に照明がつくようにした。

「あれ、この曲。」

最初の《届け》の部分を聞こえてきた時、櫻さんはふいにこう呟いた。

確実に気づいている、何て言おうか。
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