星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
「先輩、ごめんなさい。
私、先輩の気持ちを知っていながら…」

《謝らないといけないのは私よ。

あの日、心春に聖也が好きって言ったけど私、あの日の夜、とっくに聖也のこと好きじゃなかったことに気付いたの。

けど、心春に伝えることをしなかった。
だから…だからね?幸せになって。

私ね、嬉しかったの。
聖也と結ばれるのは心春なら他の誰よりも何倍も何倍も嬉しいの…》

椿先輩の泣きそうな震えた声が耳元で響く。
その消え入りそうな声を聞くと私の目からも涙がこぼれる。

「ありがとうございます。
私、幸せになります…

次は…先輩の番ですよ?」

私は左手の甲で涙を拭った。
ちょっといたずらっぽく笑った。

《私はしばらく好きな人を作らないから恋は少しお休みしますー。》

楽しそうに言う椿先輩の声を聞いてちょっと嬉しくなった。
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