星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
メリークリスマス!
聖也から聞いたよ。
聖也と付き合うことになったんだってね!
おめでとう、末永く。


短く単調な文章だが、椿先輩の表情が見えた気がした。

あの長くて艶やかな漆黒の髪を高い位置に1つに結んだあの姿が。

きっと深く悲しい目をしているんだろう。

好きな人を気にかけている後輩に取られたそんな気持ちは計り知れない。


ごめんなさい、先輩が好きなことを知っているのに、付き合い始めるなんて。
今度会ったら好きなだけ殴って下さい。

あ、メリークリスマス。


私はそう文字を入力して送信ボタンを押す。

すると10秒後、電話が再びなる。
今度は椿先輩から電話の着信だ。

「も、もしもしっ!?」

私は驚いて声が裏返った。

《心春っ!》

そう耳元で震えた先輩の声が響く。
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