星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
次の日曜日。
私は聖也さんとデートに来ていた。

「心春、大丈夫?今日、顔暗いけど。」

聖也さんは私の異変に気付いている。

「ごめん。紅蘭が熱出してて少し心配で…」

私は咄嗟に嘘を吐く。

薄暗くなった空に星が流れる。

だって言えるわけないじゃん。
これからあなたをフるだなんて。

「そっか、お大事にね。」

「ありがと。」

私は聖也さんの言葉に頷く。

「じゃあ、帰ろうか。」

聖也さんと手を繋いで駅を目指して歩き出す。

手を繋いで歩くのもこれが最後なんだ。
これからはそれが許されない。

「聖也さん。少しいいですか?」

私は立ち止まって言うと聖也さんも立ち止まる。

私たちは駅へ繋がる細い人気のない渡り廊下で足を止めた。

「聖也さん。私たち別れませんか?
今までのように普通の先輩、後輩に戻りましょう。」

「それってさ?心春が決めたことだよね?
お兄さんに言われて…とかじゃないよね。」

「ええ、兄は何も言ってません。
私が決めたことです。」

100%ではないが、嘘は言っていない。
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