星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
椿はそう言って写真を眺める。

2枚目に手に取った写真を見て彼女の表情は固まった。

その手には心春が昔からよく行っていた駅前の商店のおばあさんとの写真。

その写真はまだ心春が小学生の頃に撮ったものだった。

「私…心春と前に会ってる…!」

「え?」

椿の掠れるほど微かな声に俺は驚きが隠せなかった。

「だから初めて会ったとき、心春に既知感があったんだ。

何で私、2年も気づかなかったんだろ。」

「ちょっと、説明しろよ。」

俺は椿に大声で呼び掛ける。

「あぁ、これは丁度2年前、
私が中3だった頃の話。」
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