星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
「結構並ぶんだな。」

「まあ、凄い人気だもん。
でもアイドルほどではないけどね。」

私と一馬はそんな話をしながら待っていた。

「あ、ギガ切れちゃった。」

隣の一馬が突然言葉を発して、スマホをポケットに突っ込む。

「私、ウォークマン持ってるよ?
曲でも聞く?
と言っても藤嶋飛鳥の曲しかないけど。」

私はハンドバッグからウォークマンを取り出した。

「何聞きたい?」

「んー、『天使と悪魔』かな。」

2ndシングルのカップリング曲。

「あ、いいとこ突いたね。私も大好き。」

私はボタンを操作して選んでイヤホンを片方差し出す。

一馬がイヤホンを耳に入れたのを見て、私は再生ボタンを押す。
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