記憶を失くした少女【完】


凌馬さんが帰ったあとの部屋は何だか静かで、何となく気を紛らわす為にテレビを付ける。


見たい番組なんてないが、取りあえず静かな空気に耐えられなかった。


たぶん、ずっと誰かといたから1人に慣れていないんだと思う。


テレビの音を聞きながら、暇がてら情報になりそうなものを探してみたがアルバムらしきものは見つからなかったが、1枚だけお母さんらしき女の人とお父さんらしき人にか囲まれた小さな少女の写真を勉強机の引き出しから発見した。

3人は幸せそうにチューリップ畑の前でピースをしている。


「私の部屋にあるってことは、まぁ私だよねこの子」

訳ありっぽく感じたけど、写真をみると普通に仲良さそう。

もしかしたら、学校に近いアパートを借りてくれた的な感じで離れて暮らしてるのかな?
 
いや…………………それはないか。


ここから学校まで20分かかるし、学校の周りには恐らくアパートだってあるだろう。

そしたら学校の近くのアパートを借りるだろうし。


……………………まぁ、いずれは知るだろうし今は考えるのを止めよう。


< 10 / 245 >

この作品をシェア

pagetop