記憶を失くした少女【完】
_____カランっ♪
お店の中は爽やかな感じで、入り口に飾られている観葉植物が部屋の感じとよくあっいる。
「いらっしゃいませぇー♪こちらにどうぞ!」
まだ開店したばかりだからか、お客さんがまだあまり来ていなかった。
まぁ、平日の朝方ということもあるからだろうけれど…………。
私を奥の散髪台に案内してくれたのは、20代前半っぽいクリーム色で肩まであたりの髪をフワリと巻いた女で、雰囲気的にいかにも男の人が守りたくなる感じの人。
「今日はどんな感じになさいますか?」
「髪色を大人しめにしたいんですけど、良い色ありますか?」
「大人しめというのは、今よりワントーン暗めの金色にすると言うことでよろしいですか?」
「いえ、そのままの意味で暗い色にしたいんです」
こんな見た目だから、まぁ…………そう思うよね。
「それは失礼致しました!………となりますと、そうですね。ナチュラルカラーは自然な色ですし人気がございますが、お客さまはオリーブカラーとかいかがですか?」
「オリーブカラー?」
なにそれ、初めて聞く名前!!
「上品でカラー初心者でも取入れやすい色合いとなっており、当店では人気のカラーなんです♪色も暗いのから明るいのまで出来るのですがお客さまは暗い色とのご用件なので、こんなのはどうですか?」
そういって見せられたのは、とても清楚な雰囲気の素敵なカラーモデルさんの載ってる雑誌。
確かに、透き通った感じの印象で、色も暗すぎず明る過ぎずって感じでとてもいい。
「これでお願いします」
私は迷わずそれに決めた。
「分かりました♪」
「あ、前髪もお願いします」
「はい♪」