記憶を失くした少女【完】



「話を聞く限りでは前のお前と随分違うようだけど、それはイメチェンか?それとも本当に記憶喪失なのか?」


「………私は言ったはずだけど?記憶喪失だって」


この人…………………私を疑ってるんだ。


「嘘ついて記憶喪失を装ってる可能性は?」


「それはない。絶対。………………あなたも、私を殴りに来たの?」

そこまで絡みのない人に私の全てを信じてほしいとは思わないけど、せめて今言ったことだけは嘘じゃないって信じてほしい。


1人でもいいから、本当のことを知っててほしい。




「………………………"あなたも"って、他のやつからお前殴られたのか?」


「ううん。でも、皆前の私に恨みがある人ばかりでしょ?だから、殴りに行くとか、嫌いとか、私はたくさん聞いた。きっと今の私も名前を聞いて、同一人物だと分かると、皆はあなたみたいな事を言い出すと思う」


それが1番怖い……。


「…………この学校には、私の味方なんていない」


友達もいない。


いてくれるのは凌馬さんだけ。





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