イケメン医師は今日も新妻が可愛くて仕方ない
入院も三日目になった時、さすがにこんなに新婚の伊吹を拘束したらまずいのではと、やっと気付いた私は伊吹に聞いてみた。
「伊吹、結構しょっちゅう私の病室に来てくれるけど、家には帰ってるの?新婚でしょ?奥さん待ってるんじゃないの?」
聞くのはとても胸が痛むけど、伊吹はもう伊吹の大切な人と過ごすようになったんだ。
前みたいに甘えてはいけないんだ……。
三日目にして気づくなんて、遅すぎるけど。
私は確かに従姉妹で可愛がられてるけれど、それだけなんだから……
思えば思うほど痛いけど、あの山口さんには前々回の入院の時にすごくお世話になった。
伊吹が惚れるのが分かるほど、優しくて可愛らしい、けれど芯のしっかりした女性。
それが山口さんだった。
さすがに一度は帰っているだろうと思っていた私は、伊吹が返した言葉に目が点になる。
「当直に日勤してからの救急入ったりしてたから、ここ三日帰れてないな。まぁ、でも忙しいとそういうこともあるからな」
なんてこともなげに、笑って返すのだ。
え?その間お嫁さんは一人なの?
奥さんだって仕事してて、そんな中で伊吹が帰ってくるのを待ってるんじゃないの?
病院から伊吹の家までは車で5分。
それなのに帰らなかったの?
なんで?
その疑問は顔に出てたんだろう。
「アホ。不安がってる真穂を、ほっとけないだろうが」
そう言ってポンポンと頭を撫でる伊吹に、私は間違った事してしまった事に気付いて愕然としたのだった。