本日、結婚いたしましたが、偽装です。
普段通りに接すれるかと思っていたが、翌日の俺は自分でも驚くほど佐藤に対して通常運転だった。
想いを抑え込むことに慣れているのか、会社に一歩足を踏み入れてしまえば無愛想ときつい言葉で対応をする。
もっと愛想よく、そして優しい言葉で佐藤に接したいのにこればかりは自分ではどうにもならないものだった。
今日も佐藤は、ミスが多かった。
朝一で依頼した取引先に送る工具の納品書と、商品企画課と連携して大手の建設会社に取引してもらえるようにプレゼンをする時に必要な資料に目を通せば、納品書は合計金額が大きく間違っていたし、資料は工具の説明の誤字脱字や変換間違いが多く、また性能を数字化したグラフも分かりにくく、工具の立体模型や細かな図解も資料から引用してコピペしたのか不鮮明な写真で見えにくかった。
正直言って、分かりにくいったらない。
大手の建設会社はより性能が良く、耐久性もあって多機能の工具を希望をしているらしく、不鮮明で伝わりにくい資料を一目見ただけで相手にされない可能性がある。
資料一つでも、こちらの印象は結構決まるもので気を抜いてはいられないのだ。
俺は、他の社員に指示を飛ばしながら先ほど佐藤からプリントして渡された納品書と資料の間違った箇所に赤ペンを引いてから立ち上がった。
つかつかと歩いて斜め前の席に回って、今日も一応仕事はしているが心ここにあらずな佐藤の背後に立つ。