孤独の賛歌
入学式で僕の隣に座っていた彼女は、突然小声で話しかけてきた。
「ねぇ、私今辛いんだよー。」
「え、は…?」
「君ってさ、…」
「なんですか?」
「うふふふふふ、なんでもない!」
それっきり、入学式のあいだは彼女は話しかけて来なかった。
しかし、クラスに移動して、彼女が僕の後ろの席に座った時のことだった。
「ねぇねぇ!!!もし私が君の彼女でさ、こうやって後ろの席でバレないように君に向かって愛のメッセージを送っていたら、、なんて素敵なことだろうなぁ!」
何を言っているのかさっぱり分からなかった。不思議な人、とかいうレベルの話ではない。頭がおかしいのだろう。
「あっ、無視しないでよー!」
五月蝿いはずの彼女の声は、何故か耳ざわりではなかった。
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