甘い魔法にかけられて
その空間の違和感

リビングの中央に鎮座するのは・・・

あの紙袋達

「あ、あの・・・」

支払うって言うか
謝るのが先か

考える間に

抱きしめられた

「まさか帰るなんて思って無かったからさ、ちょっとフリーズしたけど、車の方が早いからアパートに戻る前に捕まえようと思ってさ」

「つ、捕まえる?」

「そうだよ、ちゃんと捕まえないとまた逃げるかもしれないだろ?」

「えっと・・・」

・・・正解です

「何が気に入らなかった?」

「気に入らないとかではなくて」

「じゃあなに?」

「航平さんに買って貰う理由がなくて・・・」

消え入りそうになる声を
胸にぶつけると泣きそうになった

「バカだな」

「・・・」

「好きな子にプレゼントして何が悪い、好きな子の為の色々に何の理由がいる?」

「・・・ごめんなさい」

「許さないよ」

涙の潤む目を覗き込んだ彼は
ニコリと口角を上げると

指で顎を引き上げ

ゆっくりと唇を重ねた

昨日と違うのは・・・

・・・大人のキス

・・・やだ

・・・こんなキスはじめて

どうして良いのか分からず
航平さんに合わせようとするけれど

鼻から吸う息もリズムを崩し
苦しくなってきた

無意識のうちに後ろに逃げようとした頭は
航平さんの大きな手でガッチリとホールドされている

・・・苦しい
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