甘い魔法にかけられて
どのくらいそうしていたのか
気付けば航平さんの腕枕で
抱かれていた

「気づいた?」

「・・・はい」
少し掠れた声に

「強引でごめん、無理をさせた」

間近の顔が動いて
フワリと唇が重なる

「身体大丈夫?」

「はい」


初めてが多すぎて
頭が追いつかないけれど

「ごめん・・・柚、我慢出来ない」

切ない顔を見ていると
“無理”と言い出せず

まだ痛みの残る身体が反応した







「柚、愛してるよ」

何度も何度も囁く声に
心まで解されていく・・・



「柚」

「柚、愛してるよ」


何度も愛を囁く彼と

止められない甘い時間は

気づけば外を夜に変えていた






さすがに出掛ける余力もなく
宅配ピザでお腹を満たす

「明日仕事なのでそろそろ帰ります」

「えっ、このまま泊まれば良いよ」

「いえ、着替とか色々・・・」

女の子なんだから色々ある
そこは納得すると思ったのに

「じゃあ今からその色々を取りに行こう」

全く譲る気ゼロの彼は
笑って手を引いた

「ずっと一緒にいたい」

「柚に触れていたい」

乙女?と口を滑らせそうになる
彼のストレートな言葉は

初めての恋愛体験を
可愛いハートマークで飾る

結局のところ
彼に押し切られ

夜はまた動けなくなるまで
彼に甘やかされ


月曜日の朝
眠い目を擦りながら2人で仲良く出勤になった

どうしてもと
ひとつ彼にお願いしたこと

【まだ会社には内緒にして下さい】

渋々承諾した彼は

会社ではいつも通り接してくれた

ただ・・・
お昼休みの2階で

こっそりイチャイチャするのが
彼からのお願い

皆にバレないか
ヒヤヒヤしながらも

可愛くオネダリする彼に
キスをしては
移った口紅を拭き取っている

「柚」

ふたりきりの時だけ
呼び捨ての名前に

頬が緩んだ
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