甘い魔法にかけられて
航平さんが押してくれた車椅子で
診察室へと入ると
白衣の医師が二人待っていた

・・・なんで二人?

疑問に思いながらも
ベッドへ横になると

「私が先に診るわね」

ショートカットの女医さんが
カーテンを閉めた

訳がわからないまま
お腹を出して

下腹部にジェルを垂らされ
機械を当てられると

不思議な感覚になる

「ん〜、とっ・・・ほら」

機械が繋がる小さなモニターを
指差す先に
モノクロの画像が見える

「これね」

その中央に真っ黒の風船のような
丸が映し出され
その丸の中にそら豆のような物

・・・これは

なんですか?と口を開く前に
カーテンを開ける先生は
汗を拭いながら待つ航平さんに

「おめでとう、ご懐妊ですよ」

モニターを反転させた

「えーーーーーーっ」
驚いて声を上げたのは私が先

「え?あ、え?」
理解に時間が掛かったのは航平さん

それでも
「良かった、柚‥良かった」

少し潤ませた瞳を細めた航平さんは
近付くとオデコにキスを落とした

「わっ」
恥ずかしいのと驚いたのと
顔中から火が出たのかという程熱が集まる

「あらあら、ご馳走さま」

この後の問診で
珍しく俯いたことは
言うまでもない






病室に戻って真っ先にお義母さんに伝えると
泣き出した

「ありがとう、柚ちゃん」

何度も頭を撫でてくれる手が
少し震えていて
大事にされていることが伝わる

航平さんのお姉さんは
まだ結婚していないから
矢野家にとっての初孫

「ちょっと待合室まで行ってくるね」

家で待つお義父さんへ知らせる為に
携帯を握ったお義母さんは
涙を拭いながら出て行った

二人きりになると
手を握った航平さん

「柚‥大丈夫か?」

「はい」

「あっ、昨日のアレが激し過ぎていけなかったんじゃないか」

思い出すように天を仰いだ航平さん

・・・昨日?・・・あっ

ソファに崩れ落ちた時間を思い出して
さっきの熱が顔に戻ってくる

「どうした、顔真っ赤だぞ?」

サラリと言う航平さんを
ぎゅっと睨むと

「そんな顔も可愛いな、煽ってもダメだぞ?
ここは病院だからな」

色っぽく微笑んで片目を閉じた

「え?は?なに言うんですかっっっ」

息も荒めに抗議するものの
全く取り合って貰えず

可愛いを連発する航平さんに
お腹の赤ちゃんごと抱きしめられて

幸せだな〜なんて呆けてしまう

「柚、愛してる」

「航平さん、愛しています」

「え?」

ストレートに出したお返しの愛に
目を見開いて驚いた航平さんに

「もう一回」

「柚、もう一回」

何度も強請られて

恥ずかしくも口にしてしまうのは

ほら

そのキラースマイル(魔法)に
かけられたせいですね




おまけfin


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