私の恋愛事情。〜アノ人と巡り会うまでは〜
「過去に誰を好きだったかとか、どんな風に傷ついたかとか、
 俺は“今のお前”を選んだんだよ」

「……でも」

「でも、信じてほしかった。俺のことも、お前自身のことも」

その言葉が、優しさと悔しさで滲んでいて、
私の涙腺をあっさり壊した。

「ごめん……ほんとに、ごめんね」

「俺さ、カッコつけたかっただけなんだよ。
 誰よりもお前を守ってるって、そう思ってた」

「でも、結局お前一人に、怖い思いさせてた」

そして――

玲斗は私の肩をぎゅっと抱きしめた。

「もう絶対に、ひとりにしないから。
 どんな過去も、お前の全部も、俺が知りたい」

「俺に、咲桜を守らせてくれよ」

涙が止まらなかった。
あぁ、なんでこんなに好きになっちゃったんだろう。
< 30 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop