残念なイケメン、今日も我が道をゆく
お店について、そこまで待たずに席に着く。


ここは、ゆかりちゃんや由美ともよく来るリーズナブルだけど美味しいイタリアンカフェだ。


「俺は二倍ボリュームのカルボナーラにします。江崎さんはどれにしますか?」


「私は渡り蟹のトマトクリームパスタにするわ。飲み物はアイスティー」


メニューを見ながらオーダーを伝えると、スマートに自分の分と合わせて注文してくれる。
さすが、動ける奴。
卒なく、こなしていく様までスマートで嫌味なくイケメン。
なんだ、この残念を無くしたイケメンは・・・
普通にいい男なんだけど・・・
今までで慣れたから違和感が拭えない・・・


「それで、なんでわざわざ勤務中に人目に付くように誘った理由?」


そうジロっと睨んでやると


フフっと笑った後に


「そんなの、俺はこの人が好きなんですよってアピールと牽制ですよ。だって他の女には寄ってこられたくないんです」


そう、さらっと返されてしまい二の句が告げない。
私はその手には実は疎い。
今までにお付き合いしたのは二人。
いずれも学生時代の一年ちょっとの付き合いである。


この歳で経験値が低いのは、情けないとも思う。
でも就活からその先は卒論。
就職してからは仕事最優先で生きてきたので、彼氏なんて出来なかった。
< 22 / 33 >

この作品をシェア

pagetop