その手が離せなくて

あてもなく、ただ我武者羅に灯りを探す。

何度も転びそうになりながら、木の枝で体に切り傷を作りながら。

涙が散る中、寒さなんて忘れて森の中を、ただ一人駆けた。


「誰か・・・・・・っ」


無我夢中に駆けながら、擦れる声で助けを求める。

それでも、聞こえるのは自分の荒い息だけ。

誰も応えてはくれない。


怖い。

助けて。

誰か。


もはや頭の中はパニック状態。

正常にものを考えられる余裕なんて、どこにもない。

頬を流れる涙も、切り傷の痛さも、もう感じない。

ただ前に、ただ誰かを求めて。


「誰かっっ」


恐怖にかられて、もう一度大声でそう叫んだ。

その時――。
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