呆れるくらいに君が恋しい。
「せーんぱーい、こんにちわー!」
お昼休み。
中庭で一人歩いてる先輩を見つけて追いかけた。
「声がデカイ。」
そう呟きながらも
ちゃんと俺を待ってくれる先輩は
やっぱり優しい。
「お昼もう食べました??」
「まだ。」
「一緒に食べません?」
少し考えて、小さく頷いた先輩に
小さくガッツポーズする。
中庭にあるベンチに腰掛けて広げた
先輩のお弁当箱を横から覗き込む。
「先輩が作ったんですか?」
「そうだけど。」
「え、めっちゃ彩りいいし、
 健康に良さそうですね。
 しかも美味しそう!」
そう言うと先輩は、
俺のコンビニで買ったパンを横目で見て
「そっちは栄養偏りそうね。」
なんて返すから。
ちょっとムキになって聞いてしまった。
「先輩はいつまで佐和田先輩のこと、
 好きでいるつもりなの?」
哀しい顔すること分かってんのに、
俺以外のやつを想ってる先輩の話なんて
聞きたくないのに、
つい、口からこぼれでた。
「何で、知ってるの。」
掠れたような声。
俺を初めて正面から見つめた。
「わかるよ。好きだから。」
先輩と目線を合わせて、
先輩の目が離れないように見つめて。
「好きだから、目で追ってしまう。
先輩が佐和田先輩を見つめてるのなんて
先輩が辛く悲しそうな顔してるのに
それを隠して笑ってるのなんて
ほんとは見たくない。
でも好きだから。
先輩が、佐和田先輩のこと好きなら
俺の言ってることも分かるだろ。」
そう言うと小さく俯いて
「ごめん。
水嶋の気持ちには答えられない。」
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