クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「ルカとは、ラウラの馬車に飛び出して来た少年だな?」

「はい……」

リンブルグ孤児院の広場に、力なく座り込む子供達の姿が思い浮かぶ。続いて浮かんでくるのは、必死なルカの顔。

彼が「フェルザー公爵は冷たい」と言ったこと。

アレクセイ様は冷たい人じゃない。

幼い頃、家族と離れて寂しがる私を元気付けてくれた。
フェルザー領に嫁いで、慣れない暮らしに戸惑う私をいつも気遣っていてくれた。

城下街に住む人々の暮らしが少しでも良くなるようにと、いつも心を砕いていた。

それなのに、どうして今直ぐに子供達を助けてあげないのだろう。

アレクセイ様が分らない。彼の気持ちを動かすことが出来ない自分自身も嫌になる。

「明日からルカの幼い妹までもが鉱山に送り込まれて、不法な労働を強いられるそうです。私の目で見ても彼等のおかれる環境は酷い。私は子供達を助けてあげたいです」

「分かってる……なるべく早く対処するようにするから……そんなに落ち込まないでくれ」

項垂れる私に、アレクセイ様が、動揺した声を出す。

「なるべく早くでは遅いです……アレクセイ様がそれ程悠長にするのは、信頼するヘルミーネ様から問題ないと報告を受けているからですか? 私の見聞きしたことより、ヘルミーネ様の報告を信じているから?」

「そんな事ある訳がないだろ? ラウラの言うことを疑ったりはしていない。
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