クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「……ヘルミーネ様の報告は完全では有りません。もう一度調査して、問題点については急ぎ改善するようにヒルト男爵に指示をして頂けませんか? 今こうしている間も、リードルフ孤児院の子供達は苦しんでいます。この件は猶予がありません」

アレクセイ様の目を、しっかりと見つめながら訴える。

私の真剣さが伝わったのか、アレクセイ様はそれ以降は疑うような事は言わなかった。

だけど、直ぐに動く気配はなく、困っているような表情を浮かべていた。

「ラウラ、話は分った。だが直ぐに動く事が出来ないんだ」

「どうしてですか?」

アレクセイ様の答えに、私は驚きの声を上げる。

子供達の窮状を訴えれば、アレクセイ様は直ぐに対応してくれると思っていた。
まさか駄目だと言われるとは思ってもいなかったのだ。

「リンブルグの問題をこのまま捨て置くつもりはないが今は手が回らない、鉱山での問題の解決が急務だからだ」

「鉱山の問題? 採掘量が減り税収が減っていることですか?」

「ああ。それに関することだ」

「小さな子供が、このままでは死んでしまうと、危険を覚悟で必死に訴えて来たのですよ。それなのに税収の件の方が優先なのですか?」

つい責めるような口調になってしまったからか、アレクセイ様の表情が強張っていく。

でも、方針を変える気はないようで、逆に私の気持ちを変えようとし始めた。

「ラウラは優しいから、子供達の訴えを放っておけないことは分る。だが俺はフェルザー領の領主として子供達だけではなく、領内全員の暮らしを守らなくてはならない」

「目の前で苦しんでいる子供を、放ってまで?」

「優先順位を決めて、結果幼い子の方を後にしなくてはならないこともある」

「あの子供達には待つ時間がないんです。ルカはもう限界だと言っていたんです」

アレクセイ様は、私の言葉に眉をひそめた。
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