クールな公爵様のゆゆしき恋情2
アレクセイ様?

思っていたより早い帰りに、嬉しくなってベッドから身体を起こす。

もう遅い時間だけれど、アレクセイ様と少し話したいと思ったのだ。

だけど、続き間の居間に行こうと扉の前に進んだとき、思いがけない声が聞こえて来た。

「今日はお疲れさまでした、会食も無事終わりホッとしましたわ」

この声……ヘルミーネ様?

どうして彼女が一緒にこの部屋に来るの?

こんな時までアレクセイ様の側近くから離れない彼女の行動とそれをアレクセイ様が受け入れている事がショックで、身動きが取れなくなる。

寝室の扉の前から動く事の出来ない私の存在になど気付くはずもなく、機嫌が良さそうなヘルミーネ様の言葉が続く。

「日中の対面はいかがでしたか? ラウラ様がのんびりと見学をして下さったおかげで、大分時間が取れたと思いますが」

「上手く行った。ヘルミーネもご苦労だったな」

アレクセイ様の声も聞こえて来る。

「あら、それはアレクセイ様の忠実な部下として当然のこと。ですがラウラ様のお相手は少しばかり苦労いたしましたわ」

ヘルミーネ様は苦労していると言っている割には、楽しそうな声音で言う。
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