クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「皆さん、とても積極的だし、自分の意見を持っているのですね」

感じたまま言うと、代表者は誇らし気に微笑んだ。

「はい。リードルフ鉱山の女は皆強いですから、衝突を怖れず意見を述べます。でも公爵夫人は驚かれたのではないですか? 貴族の女性は声を荒げたりなどしないでしょうし、夫にも従順との事ですからが

「そう……ですね。確かに多くの貴族の家では、夫の立場が強いです」

フェルザー家においても、殆どの決定権はアレクセイ様にある。

それを不満に感じたことは無かったけれど、言いたい事をはっきり言う女性達を見ていると爽快さを感じる。

「こうして見ていると影響されます。私ももっと周囲に自分の意見を主張してみたい」

心のままに呟くと、代表者の女性は驚いたように目を丸くして私を見つめた。

「まあ、公爵夫人が?」

「意外ですか?」

「はい。正直申し上げれば公爵夫人は貴族夫人の見本のような方と思っていましたから」

女性の言葉に、私はついクスリと笑ってしまった。

「そんな事はありません」

だって、私はどちらかと言うと、規格外の貴族令嬢だったから。

結婚適齢期に王子との婚約を破棄して領地に引っ込み、庭仕事に精を出す生活を半年もした。

今、思い出すとあの時の自分の行動は本当に心のままだった。その分、とても自由になったと感じていた。

失ったものを哀しんでいたけれど、前向きだった。

……今の私と全然違う。

「公爵夫人、どうなさいました?」

代表者の女性が、怪訝そうに聞いて来る。

「……少し昔のことを思い出していました。私も結婚する前は自由にしていた事もあったと思って……」

アレクセイ様が私を過保護に心配するのは、もしかしたら大胆な行動をした以前のことを覚えているからかもしれない。
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