紅の葬送曲


「……気付いたみたいだな。そうだ、消印の日付が俺は納得がいかない。父さんが死んだのは15年前、浅井秀人が死んだのは2年前だ」




そう、二人はもう既にこの世にはいない。





それなのに、手紙は一昨日の日付で翔鷹の住所宛に届いている。





出されるはずのない手紙が届いたのだ。





つまりは……。





「2年前、この手紙をお父さんから託されて投函した人がいる……?」





私の呟きに、寿永隊長以外の人物が息を飲んだ。





お父さんに託されて投函した人がいる。





その人は私の出生の秘密を知っているかもしれない。





敵か味方か……それすらも分からない。





「まあ、その人物には見当はついてる」





「「「「「は?」」」」」





寿永隊長の突拍子もない言葉に、私達のすっとんきょうな声がハモった。





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