紅の葬送曲
笑うほど凄い寝相ってどんなのだろう?
小鳥遊さんが寝相悪いとかイメージが湧かない。
むしろ、小鳥遊君の方が寝相が悪そうだ。
「あの美人なお姉さんが凄い寝相悪いとか想像できないんだけど。むしろ、小鳥遊君の方が悪そう」
すると、京が私の思っていたことを読んだようにそう言った。
「いや、江は寝相悪くない。むしろ、良すぎて気持ち悪い」
答えたのは小鳥遊君ではなく、優雅に紅茶を飲む寿永隊長だった。
彼曰く、小鳥遊君は眠ると起きるまで身動き一つしないらしく、手は胸の上で合わせているためツタンカーメンのような寝姿らしい。
「ツ、ツタンカーメン……っ」
私と京は必死に笑いを堪える。
「これが証拠だ」
そう言って寿永隊長は持っていたスマホを操作すると、画像を見せてきた。
そこには本当にツタンカーメンのように胸の上で手を組んだ小鳥遊君がいて、面白いことに彼は白目を剥いて寝ていた。
「「ぶ……っ!」」
私と京は堪えきらず吹き出した。