紅の葬送曲
だから──。
「……浅井」
「今、名前を──」
名前が呼ばれたのが嬉しかったのか、彼女目から涙が溢れた。
「……俺の補佐官でいてくれ。これは命令だ」
俺は子供が親にすがるように手に触れている彼女の手を握った。
自分の手よりも小さいのに、温かくて穏やかな気持ちになる。
安心させられる。
「命令されなくても補佐官を続けさせてください」
そう言って、笑いながら手を握り返してくれた。
この気持ちが何と言うのか俺には分からない。
でも、俺にまた守りたいと思う人が増えたことは分かった。
≪凌side end≫